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ルノワールその4

*この記事は去年の3月に掲載したものを加筆・修正したものです。


イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢
CIMG8492.jpg
1880年 スイス ビュール・レコレクション所蔵

この肖像画は、自分がルノワールに関心を持つきっかけともなった絵だけあって、思い入れもハンパではありません
以前、ルノワールの展覧会があった時、公式サポーターをしていた者として、ルノワールの良さを少しでも多くの人に知ってもらいたいので、自分の知りうる情報を共有すべく、語っていきたいと思います。ちなみに、上の写真は自分が所有している複製画なんですが、微妙に色合いが本物と違うんですよね。特に肌の色が顕著で、実際はもっと肌の色が濃いんですよ。でも透き通った肌の色が強調されているようで、これはこれで気に入っています。

イレーヌはこのとき8歳、場所は彼女の家の庭でこの絵のために2度ポーズを取っていたことがわかっています。
彼女には下の妹がおり、妹二人を描いた肖像画も残されています。ポーラ美術館館長の荒屋鋪氏はこの絵を肖像画の最高傑作とまで評されていました。なぜこの肖像画がそこまで評価されるのか、いくつかの理由があります。
まず、この絵が描かれた時代です。1880年ごろというのは、まだ印象派という言葉が、まだまだ浸透していない時代で、写実的な描き方が主流でした。前回の講演会で、イレーヌの父親と母親の肖像画も公開され、その描かれ方はやはり写実的、アカデミックな描き方でした。しかもその両親の肖像画を描かれたのはイレーヌの肖像画が描かれた10年後。やはり主流は写実的な書き方です。現にこのイレーヌの母親はこのイレーヌの肖像画と下の二人の妹の肖像画をあまり気に入っておらず、使用人の部屋に飾っていました。いかに印象派の描く絵は異端であったかがうかがえます。そしてこの肖像画の描き方です。
1002.jpg
光が当たり、美しく光る髪の毛、この描き方は他の印象派の画家でもルノワールしか表現できないであろうといわれています。ちなみに、ブルーの洋服にリボンというのはこの頃の流行だったそうです。
1001.jpg
そして、常識破りといわれているのが顔の角度、目の角度です。このころ主流は正面か横顔でした。斜めからの角度というのは肖像画ではほとんど見受けられません。目の角度、斜め45度というのはルノワールの作品ではよくみかけます。そもそもこの時代、肖像画といえば、王様とか貴族間のものがほとんどでした。そして画家が王族などを見下ろすように描くなど、もってのほかでした。
そして顔の造詣。かなり細かく描かれているのがわかります。髪の毛、まつげ一本一本がていねいに描かれています。顔の部分はどちらかというと古典的な書き方で、どうもこれはイレーヌの父親の注文だといわれています(ここの話は裏が取れていないので、ちょっと自信がないですw)
1005.jpg
この肖像画を見ていると、とても大人びて見えて、とても8歳の少女にはみえないですよね。しかし、この手を注目して見てみると、とても小さい。こういう所に子供のあどけなさが残ってたりします。こういう観察力、表現力がルノワールならではの成せる技なんじゃないでしょうか。

以前、展覧会でこの肖像画を見て一番驚いたのは、色の鮮やかさでした。130年も前の作品なのに、保存状態がいいのか、色あせた感じがまったくせず、瑞々しい。ちょっと大げさですが、10年前に描いたと言われても違和感がないような、そんな印象を受けました。どうもこれはルノワールの使う油絵具に秘密があるらしく、この肖像画に採用されているかは分かりませんが、「マティス 画家のノート」という本にはこう書かれています。
「亜麻仁油とテレピン油を独自に配合したシルバー・ホワイトの滑らかな下塗りの上に、水彩のように薄く溶いた透明な油絵具を何層も重ねていく。すると光を浸透させた絵具は、下地の白が反射する光を受けて、しっとり濡れたような豊潤な色彩になり、タッチを輝かせる。このような技法によって、ルノワールの女性像は、時を得ても老いを知らないのである。」
130年たってもなお、ルノワールの絵が世界中の人々に愛される秘密は、こういう人知れぬ細かな努力があるからかもしれません。

前回この絵が日本に来たのが2010年。その前は1990年でした。この周期で行くと、20年に1度しか日本に来ない計算になります。しかもこの肖像画を所有しているスイスの美術館は、週に4日、一日3時間しか、公開していないそうです。 
地元スイスに行ったとしても、見れる確率が極めて低い貴重な肖像画でもあります。

実はこの肖像画、かなりの災難にみまわれています。第二次世界大戦中、イレーヌの父親はユダヤ人だったこともあり、かなりの迫害を受け、この肖像画もナチスドイツに没収されてしまいます。そして大戦後、この絵も行方不明になりますが、当時70歳になったイレーヌが、偶然この絵を見つけ、買い戻したそうです。70歳のイレーヌが色あせることのない当時8歳だったころの自分の肖像画をみて、なにを思い、何を感じたのでしょうか・・・。

 おまけ
1003.jpg
この写真は一昨年の展覧会で販売されていたイレーヌ嬢のポスターです。
色合い的には一番本物に近いんじゃないでしょうか。これだと肌の色もクッキリです。

2558.jpg
こちらはイレーヌの下の妹たち。
この肖像画もルノワールの作品です。
左の子はイレーヌに似てますね。
イレーヌを正面から見ると左の子のような感じなのかも知れません。
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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用

  1. 2012/03/12(月) 00:00:11|
  2. 絵画(主にルノワール)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
<<池田綾子 | ホーム | 北海道とキャノンEOS Kiss X4 その40>>

コメント

はじめまして

僕もルノワールは大好きです。
中学校のとき図書館の美術全集できみひとさん
と同じくこの絵に一目ぼれしてファンになりました。

徳島県にある「大塚国際美術館」というものを
ご存知ですか?高校生のときあそこに行ったら
ルノワールの作品が展示してあって感激しました。

土産物屋でルノワールのポスターを買って帰ったのを記憶しています。


  1. 2012/03/12(月) 10:46:00 |
  2. URL |
  3. 園芸村長 #-
  4. [ 編集 ]

園芸村長さんへ
はじめまして!
訪問&コメントありがとうございます。
ルノワールに関心がある方がいて、とても嬉しいです!

大塚国際美術館は知ってますよ~。
確か、陶板名画の美術館ですよね?
基本、撮影オッケーな所らしいので、
いつかは行ってみたい美術館の一つです。
ただ、ルノワール関係の絵画があるのは知りませんでした。
・・・やっぱり行ってみたいなあ(笑)


  1. 2012/03/12(月) 22:13:24 |
  2. URL |
  3. きみひと@ #-
  4. [ 編集 ]

私もイレーヌ嬢が大好きです☆
中之島の展覧会でこの作品を目にして、
髪の毛の一本一本まで丁寧に描かれていることに驚き、
思わず触れてみたい衝動に駈られました。
ルノワールって、万物を美しく描く天才です。
女性だけでなく、花を描いてもキレイですよね!

そういえば私ときみひとさんは、
「ルノワール」っていうコミュニティに所属していたような(笑)
私、ほとんどルノワールの記事を書いてない…
  1. 2012/03/14(水) 15:35:49 |
  2. URL |
  3. まかろん #-
  4. [ 編集 ]

まかろんさんへ
こんばんは!
ルノワールは、花も有名ですよね~。
ただ、肖像画の方が知名度はあるようですが・・・。

コミュニティはあって無いようなものなので、
気にしないでください(笑)
各いう自分も、全くルノワール関連やってないですし。
最近、面白そうな展覧会が無いんですよね・・・
  1. 2012/03/14(水) 23:23:34 |
  2. URL |
  3. きみひと@ #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは!
輪郭がぼんやりしていて、ほんわかしているのが特徴ですね。
やさしい色使いが万人を惹きつけるのでしょうか。
ルノワールの人気が分かります。
思えば、こちらのブログには、絵の村から辿り着いたのでした。笑。
私も絵は好きなので、またのUPを待ってま~す。
  1. 2012/03/15(木) 12:56:35 |
  2. URL |
  3. zig #5h.aGyeY
  4. [ 編集 ]

zig さんへ
こんばんは!
zig さんは、九州関連の記事からうちのブログに来られたんだとばかり思ってました(汗)
ルノワールの絵は、日本人の感性に合うのか、とても人気がありますね。
こういう展覧会をもっとやってほしいもんですが、海外の美術館から借りるには、大変な苦労があるようです。
そのせいか、ここしばらく日本で大きな規模の展覧会が無いんですよね・・・。でも機会があれば、またブログで紹介していきたいと思ってます。
  1. 2012/03/15(木) 22:57:55 |
  2. URL |
  3. きみひと@ #-
  4. [ 編集 ]

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